救済制度Q&A

「抗がん剤副作用救済制度」の創設にご協力下さい

医薬品(薬)は適正に使用していても、副作用の発生が避けられないという特性をふまえ、薬の副作用被害に対する救済制度(医薬品副作用被害救済制度)があります。
ところが、抗がん剤は、強い副作用が数多く見られるとして、現在の制度の救済給付の対象からは除外されています。
しかし、副作用救済制度の趣旨を考えれば、少なくとも副作用による「死」まで「仕方がない」として患者にそのリスクを負担させることは適切でなく、他の薬剤による副作用死と同様の補償が図られるべきです。
そこで、私たちは、「抗がん剤副作用被害救済制度」の創設を求めています。

1 「副作用被害救済制度」について

(1)「医薬品副作用救済制度」とは何ですか?

病院・診療所で投薬された医薬品、薬局などで購入した医薬品を適正に使用したにもかかわらず副作用被害が発生した場合に、その治療に必要な医療費や障害年金、遺族年金、遺族一時金等を支給する公的な制度です。

(2)どこが運営しているのですか?

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)が運営する制度です。

(3)なぜ、そのような制度があるのですか?

医薬品は使用にあたって万全の注意を払っても、副作用を完全に防止することは非常に困難であるとされています。
また、これらの健康被害について、民法で賠償責任を追及することは難しく、できたとしても、多大な労力と時間が必要となります。
そのため、医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害者に対して、各種の副作用救済給付を行い、被害者の迅速な救済を図ることを目的とし、昭和55年に創設されました。

2 「抗がん剤の副作用被害救済制度」について

(1)なぜ、新しい制度を作る必要があるのですか?

現在の副作用被害救済制度では、「抗がん剤による副作用被害」は、救済対象から除外されています。このため、抗がん剤による副作用被害が発生しても、現在の副作用救済制度による救済給付を受けることはできません。
したがって、抗がん剤による副作用被害に対し、救済給付を行うためには、新しい制度を作る必要があります。

(2)なぜ、抗がん剤は救済対象から外されているのですか?

これは、抗がん剤の使用した場合には、相当の頻度で重い副作用被害の発生すること予想される反面、がん治療にあたっては抗がん剤の使用が避けられず、代替する治療法も無いため、抗がん剤による副作用は患者さんが受忍するしかないためだと説明されています。

(3)副作用を覚悟で抗がん剤を使う以上、副作用被害は救済されないのでしょうか?

そんなことはありません。
そもそも、副作用救済制度は、「医薬品は使用にあたって万全の注意を払っても、副作用を完全に防止することは非常に困難である」という考えのもとに、適切に薬を使用しても発生してしまった副作用被害を救済する制度です。「副作用を予想していたから、副作用が避けられないから救済されない」というのは、本来の制度趣旨からしておかしいのです。
副作用救済制度創設時には、抗がん剤の他に、「生物由来製品による感染被害」ついても「感染被害は避けられない」という理由で救済対象から除外されていましたが、その後、薬害エイズ事件や薬害ヤコブ病の教訓から、平成16年には「生物由来製品感染等被害救済制度」が創設され、現在は救済対象となっています。
抗がん剤についても、「副作用被害は避けられない」という理由で、救済対象から除外される理由はありません。
C型肝炎訴訟の教訓から設置された薬害再発防止のための検証会議でも、「抗がん剤も救済対象とすべき」と提言されています。

(4)抗がん剤の副作用救済制度ができると、どんなメリットがあるのですか?

私たちは、「抗がん剤副作用救済制度」の創設によって、抗がん剤の副作用死に対しても、遺族一時金と葬祭料を給付するよう求めています。現在の「副作用被害救済制度」と同額の遺族一時金と葬祭料が支払われることになった場合、抗がん剤の副作用で家族を亡くされた遺族の方には、733万4200円が支払われることになります。

3 最後に

がん患者さんは、「治りたい」「少しでも長く生きたい」という思いから、重い副作用を覚悟して抗がん剤を服用されます。しかし、患者さんは、副作用で死に至ることまで容認しているわけではありません。むしろ、治療のために服用する抗がん剤であるからこそ、その抗がん剤の副作用で亡くなった場合には、社会の負担で遺族の方の補償を行うべきです。
少しでも安心して抗がん剤治療を行う環境を作るためにも、この制度が不可欠だと私たちは考えています。

2010年3月
薬害対策弁護士連絡会

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