和解勧告に関する原告団・弁護団声明

2011年01月07日

声   明

 

  本日,大阪地方裁判所及び東京地方裁判所は,薬害イレッサ訴訟に関し,所見をともなう和解勧告を行った。

 2002年7月5日,世界に先駆けて,異例のスピードで承認された肺がん治療薬イレッサは,承認から半年で180人,2年半で557人もの間質性肺炎等による副作用死を出し,2010年9月末現在の副作用死亡者は819人に上る。

 国内外の臨床試験等において致死的な間質性肺炎の発症を示す情報が蓄積されていたにもかかわらず,承認前から「副作用の少ない抗がん剤」という宣伝広告を行い,添付文書等における十分な警告を怠った被告アストラゼネカ社はもとより,安全性確保措置をとらないまま漫然とイレッサを承認し,市販後の安全対策を怠った被告国の責任は甚大であり,被告らが被害者に対し,謝罪と償いをすべきことは当然である。

 しかし,原告らは,賠償のみを目的として提訴したものではない。原告らは,何より, 薬害イレッサ事件の教訓を,がん患者の権利の確立や薬害防止に生かし,抗がん剤による副作用死を対象とする副作用被害救済制度を創設することを強く願って訴訟を提起したのである。この目的は判決のみでは実現できない。

 そこで,原告らは,昨年11月26日,薬害イレッサ事件の早期全面解決のための和解勧告を裁判所に上申した。

  本日の和解勧告は,この上申を受けて行われ、本件紛争を早期に公平かつ全面的に解決するには、和解による解決によるのが望ましい旨を指摘している。

 その内容は、致死的な間質性肺炎について十分な注意喚起を行なわなかった被告企業および被告国の責任を明確にしている点において高く評価できる。とりわけ, 承認時の初版添付文書についての被告らの責任を指摘している点は画期的であり,今後の薬害防止において高い歴史的な意義がある。

 よって,原告らは,和解協議に応じたうえで, 原告全員救済を含めた全面解決の実現を目指すこととする。

 折しも,2010年4月,厚生労働省の「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」は,薬害防止に関する「最終提言」をまとめ,厚生労働大臣はすみやかな実行を約し,薬害防止を誓ったが,薬害イレッサ事件の全面解決なくして薬害防止は実現できない。多くの被害者の死を無駄にしないためにも,被告アストラゼネカ社,及び被告国に対し,裁判所の勧告を真摯に受け止めて,和解協議に応じることを強く求めたい。

 原告らは,薬害イレッサの早期全面解決を実現するために全力を尽くす所存である。

 引き続きご理解とご支援をお願いする。

 

 2011年1月7日

 

                                      薬害イレッサ訴訟統一原告団・弁護団

 

 

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