薬害イレッサ訴訟大阪判決に対する原告・弁護団声明

2011年02月25日

薬害イレッサ訴訟大阪判決を受けて、以下の声明を発表しました。


                                    2011年2月25日
                    声  明

                                         薬害イレッサ訴訟統一原告団・弁護団

 本日,大阪地方裁判所は,薬害イレッサ訴訟の判決を言い渡し,被告アストラゼネカ社の責任を断罪した。判決では,以下のとおり,アストラゼネカ社の責任が認定されている。
 イレッサ承認当時,分子標的治療薬についての医療現場の理解が十分でなく,肺がん化学療法に習熟していない医師も使用することが予想され,イレッサが自宅で服用できる経口薬であることから,薬事・食品衛生審議会で危惧されたように,副作用に関する警戒を十分にしないまま広く用いられる危険があった。他方,イレッサの国内臨床試験,海外の副作用報告からは,イレッサにより致死的な間質性肺炎が発症することの認識可能性があった。そして,アストラゼネカ社は,プレスリリースなどの情報提供において,イレッサの副作用が軽いことを特筆すべき長所とする一方,間質性肺炎の危険性を公表していなかった。添付文書についての厚労省の通達では,重要と考えられる事項を前の方に配列するとされていたことなどからすれば,アストラゼネカ社は,少なくともイレッサの間質性肺炎について重大な副作用欄の最初に記載すると共に,致死的な転帰をたどる可能性について警告欄に記載して注意喚起をはかるべきであり,これがないイレッサには製造物責任法上の指示・警告上の欠陥がある。
 抗がん剤の副作用についての注意喚起のあり方について,製薬企業の製造物責任法上の責任を明確に認めた点において,判決には大きな歴史的意義がある。
 他方,判決は国の法的な責任を否定したが,アストラゼネカ社の責任で判断された事実関係は,ほとんどそのまま国にも当てはまるのであり,国の責任を否定したことは極めて不当である。指示・警告上の欠陥がある医薬品であるとされながら,これを指導監督する国に責任がないというのでは,国民の薬事行政に対する信頼を確保することはできない。
 判決は国についても「添付文書の重大な副作用欄に間質性肺炎を記載するよう行政指導をしたにとどまったことは,必ずしも万全な規制権限の行使であったとは言い難い。」と断じており,裁判所は,アストラゼネカ社はもとより,国についても,未曾有の被害をもたらした薬害イレッサ事件の早期全面解決をはかる社会的な責任があることを指摘しているものである。
 言うまでもなく,国には国民の生命,健康を守る強い責務があり,アストラゼネカ社には公共性の高い製薬企業としての社会的責任がある。国,アストラゼネカ社は,裁判所の指摘を謙虚に受け止めて,薬害イレッサ事件の早期全面解決をはからなければならない。
 私たちは,原告全員の救済,未提訴被害者の救済を含めた,2010年8月25日付け全面解決要求書に基づく薬害イレッサ事件の全面解決を勝ち取るまで,さらに奮闘する所存である。
 さらなるご支援をお願いする。
                                          以  上


2月25日付原告団弁護団声明.pdf


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